パチンコで人生、少しずつ壊れていく。

──お金も時間も心も、取り戻せない──

「ちょっとくらい」その甘さが命取りに

借金を抱えていた当時、私は現実逃避するようにパチンコに通っていました。勝ったら返済に、負けたら…という気持ちの繰り返し。その結果どうなったのか、経験から正直にお伝えします。

最初は軽い気持ちでパチンコ屋へ

今回は、皆さん大好きなパチンコについてお話ししていこうと思います。もはや国民的ギャンブルになっているパチンコ。皆さんはやっていますでしょうか?

私は今までの人生の大半の時間をパチンコに費やしてきました。よく「パチンコをしなければ高級車1台は買えた」といった比喩表現を聞きますが、冗談抜きでそれは可能だと思います。

なぜここまで人がハマってしまうのか、やり続けてしまうのか──。それはパチンコに秘められた、ある種の麻薬的な中毒性があるからです。私がどうやってこのパチンコのジレンマから抜け出したのかについて、一つ一つ説明していきます。

まず大前提として、余力資金でパチンコやギャンブルを楽しむ分には、私は問題ないと思っています。自己破産を経験した身の考え方でも、それは否定しません。ゼロにすることが嫌なら、たまに遊びに行く程度は良いと思いますし、落ち着いて行動できているのであれば問題ありません。

問題なのは、生活が困窮しているにもかかわらず、使ってはいけないお金をパチンコに使ってしまうような人たちです。そういう人たちが抜け出せないまま、この環境が蔓延しているという事実こそが深刻な問題なのです。

なぜここまでパチンコが人気なのかというと、それは街のあちこちにパチンコ店が存在し、しかもほとんどの時間営業しているからです。年中無休で誰でも簡単に入店できてしまう。その「入りやすさ」が問題だと思っています。

また、4円パチンコ、1円パチンコ、5円スロット、20円スロットなど、バラエティに富んだ金額設定も魅力のひとつだと思います。お金がなければ1円パチンコに行けばいい、という話になりますが、1円パチンコで稼いだところで支払いが間に合わなければ意味がありません。

私も何度も「救済措置」として4円パチンコに手を出し、どうしようもなくなって首が回らなくなった過去を経験しています。同じような境遇の方も多いと思います。

しかし、結局のところパチンコ店は利益を出さなければ営業できません。お客様から得たお金で台を買い、莫大な電気代を支払い、さらに従業員の給料を支払っています。

しかも、パチンコ店で働く従業員の給与は、他の業界に比べて高水準であることが多いです。その給与も、すべてお客様から支払われた「遊技代」から出ているのです。

それを分かっていながらも、「自分は負け組ではない」「10人が負けても自分だけは勝てる」と思い込んでしまう。そういう勘違いが、さらに状況を悪化させる原因になります。

私も何度も、「今日は勝てる気がする」「絶対に取り戻せる」と浮かれながらパチンコ店に足を運び続けました。しかし結果として、多くのお金と時間を費やしました。

そして今になって思うのです。あの時間とお金があれば、たくさんのことに挑戦できたと。当たり前の話なのですが、渦中にいるとそれが見えなくなるのです。

勝っても使う、負けたら取り返す…そのループ

確かに、他の公営ギャンブルに比べると、パチンコは自分で単価を設定する必要がないため、大きなお金を貼ることもなく、何十万円と一度に負けることは少ないように感じるかもしれません。

しかし、1回で1万円を失うことは珍しくありません。仮に1日2万円負けて、それを月20日繰り返せば、月に40万円失うことになります。実際、人気パチンコライターが「1ヶ月で数十万円を負けた」と語っているのも聞いたことがあります。

今のパチンコは規制の影響でスペックが厳しくなり、なかなか勝ちにくい仕様になってきています。結局のところ、私は「パチンコで勝つのは不可能に近い」と思っています。

4万円は簡単に失うのに、4万円勝つのはとても難しい──。これがパチンコ最大の問題だと私は考えています。他のギャンブルであれば、一発逆転や大勝ちのチャンスがあるかもしれませんが、パチンコでは出しても2万発、3万発程度。つまり、3〜4万円を投資しても、それに見合うリターンは期待できません。

「たくさんお金を突っ込めば、それだけ戻ってくる」という仕組みではないのです。それなら、いっそ毎月パチンコに使っていたお金を積立NISAに回したほうが、よっぽど賢明な判断だと思います。

ではなぜ、私たちは投資ではなく、パチンコを選ぶのか?それは…つまらないからです。

演出を見て、先バレが発生して、頭が焼けるような興奮──。普段の生活では味わえないような幸福感が襲ってくる。だから、人はまたパチンコ店に足を運ぶのです。

そして開発者側も、客が「正常な判断をできないように」日々研究を重ね、演出を工夫してきます。1円でも多くお金を巻き上げるために、計算され尽くした演出を投入してくる。それが現実です。

当たり前のことに気づけば抜け出せるかもしれませんが、ギャンブルは「病気」だと思っています。簡単には治りません。

私自身も「病気」だと自覚しています。病院に行ったことも、特別な解決策があったわけでもありません。でも、ある日突然、自分の行動に火が差して──そして、その日を境にパチンコ店に行くことをやめました。

「返済に充てる」は幻想だった

私の場合、収入が少なく返済額が多かったため、返済日を乗り切るには「ギャンブルで増やすしかない」と思い込んでいました。ふざけた話に聞こえるかもしれませんが、本当に給料だけでは返済ができない状況だったのです。

労働を増やして副業をすればいい──それは頭では分かっていました。でも、朝から晩まで働きづめの毎日。副業に充てる体力など残っていなかった私は、また甘い蜜を吸わせてくれるギャンブルに手を出していました。

なぜなら、時給1,000円で働く代わりに、椅子に座っているだけで数万円を稼げる可能性があることを、過去の経験で知っていたからです。

しかし、現実は違いました。ギャンブルで借金を返せた経験など、ほんの数回しかありません。パチンコはもちろん、競艇や競馬も同じでした。どれだけやっても、大きくキャッシング残高を減らすことはできなかったのです。

周囲には「今日◯万円勝った!」と誇らしげに話す人もいましたが、そういう人は都合の良い勝ち自慢しかしません。その言葉を鵜呑みにして「自分も勝てるかも」と期待して行くと、待っているのは地獄です。

だからこそ、知恵をつけなければいけないと気づきました。ここでいう“知恵”とは、ギャンブルの正体を理解することです。

まず、パチンコに「自分の実力」など通用しません。機種選びのセンスで勝っているように見せる人もいますが、それはごく一部であり、基本的にはパチンコ店が利益を出すように調整されているのです。これはもう当然の話です。

何億、何兆円という売上を誇る業界が、運任せで営業していると思いますか?本当に運だけで成り立っているのであれば、ある年に「お客様に数億円のプラスが出た」という都市伝説のような話があっても良いはずです。

でも、そんなことは一度たりとも起きていません。そうであるならば、答えは明白です。裏で何が行われているのかも、大体察しがつくのではないでしょうか。

通う理由が「習慣」に変わる怖さ

そうは言っても、まだパチンコの習慣から抜け出せない人はたくさんいると思います。正直なところ、「行かない」のではなく、「行けない状態をつくる」しか方法はないと思います。

私の場合はまず現金を持つことをやめました。クレジットカードも家に置き、外でお金を引き出すことができない状態にしたのです。それでもダメなら、家族・恋人・奥さんなどにカードを預け、相手に金銭管理を任せるのも一つの手です。

必要なときに必要な金額だけ相手からもらう。そのくらい徹底しなければ、ギャンブルの呪縛からは抜け出せません。

「そこまでする必要ある?」と思う方もいるかもしれません。でも、それくらいしないと無理なのです。ギャンブルを甘く見ていると、一生苦しむことになります。

私は、せっかく働いて得た1万円を握りしめ、パチンコでわずか数分で溶かしたことが何度もあります。帰り道、あまりの愚かさと情けなさに泣きたくなりました。

しかし、そうした後悔を何度経験しても、またあの「高揚感」に引き寄せられ、パチンコ店へと足が向かってしまう。それがギャンブルの本質的な闇なのです。

あなたは軽い気持ちで店に入るかもしれませんが、その店舗は、あなたのようなお客からお金をどうやって巻き上げるか、綿密なリサーチと戦略をもって運営されています。

だからこそ、それと戦うには徹底した対策が必要です。自分を律し、仕組みに飲み込まれないようにしてください。

抜け出すのは、負けを認める勇気

いろいろな解決策はあると思います。自分だけでは抜け出せない人は、他人に頼ることも大切です。たとえば、カードを信頼できる人に預けて管理してもらうなど、自分一人でコントロールできないなら協力を仰ぐべきです。

しかし根本的には、「パチンコで今までの負けを取り返すことはできない」と理解するしかありません。今までの負けは“勉強代”だったと受け入れ、それ以上の勉強代を支払わないように行動すること。それしか道はありません。

人は損をすると、どうにかして取り返したいという気持ちが強くなり、行動がどんどんエスカレートします。でも、パチンコ店に負けたお金を取り返すことは一生かけても無理です。お店が利益を出して営業している時点で、勝負は最初から見えています。

私も負け続け、数百万円〜数千万円を失ったかもしれません。でも、もう“追う”ことはやめました。追い続ければ、どんどんお金も時間も失います。

「諦める」のは怖いと思います。追い続けている間は、“まだ取り返せるかもしれない”という希望があり、精神的な余裕があるようにも思えます。でも、やめることで「負けが確定してしまう」ように感じて苦しいのも事実です。

ただ、私がギャンブルから距離を取ったとき、気づいたことがあります。それは、ギャンブルをしていない自分は“正常な脳”になっているという感覚がある、ということです。

今までは、常にふわふわしたような感覚の中で生活していました。でも、ギャンブルをやめたことで、気持ちが穏やかになり、感情の波も少なくなり、自分自身をしっかりコントロールできるようになりました。

最初のうちは、カードを親に預けて管理してもらっていましたが、今では自分でカードを持っていてもきちんと制御できています。

「ギャンブル禁止」とするのではなく、そもそも“ギャンブルという概念”を自分の中から捨ててください。禁止にすると、禁止期間が終わればまた再開してしまう可能性があります。そうではなく、ギャンブルとは“縁を切る”のです。

ギャンブルという言葉自体を、あなたの思想の中から完全に消し去ってください。そうすれば、あなたは本当に素晴らしい生活を手に入れられるはずです。